自店のポジションを言語化する3つの問い|車屋がSNSを始める前にやること
「SNSを始めたいけど、何から手をつければいいか分からない」「投稿はしているけど、毎回ネタを探すところから始まってしんどい」。車屋さん・バイク屋さんからよくいただく相談です。
この状態になる原因はほぼ1つで、投稿を始める前に決めておくべきことが決まっていないからです。逆に、たった3つの問いに答えておくだけで、投稿テーマに困ることはほぼなくなります。
はじめまして、株式会社8fect代表の渡邊大地です。新卒で二輪部品商に3年、輸入車専門販売店で5年、ECの立ち上げとYouTube・Instagram運用、映像制作を自分の手でやってきました。今は中古車販売店などの車屋さん・バイク屋さん専門のSNS運用代行として累計40社以上を支援しています。
この記事では、各地の勉強会や講演でも実際にやってもらっているワークをそのまま公開します。紙とペンを用意して、15分で書ける内容です。
なぜ「投稿する前」に設計が必要なのか
SNSがうまくいかない会社の多くは、発信量が足りないのではなく、設計がないまま走り出しています。
設計がないと、こうなります。毎回その場で思いついたことを投稿するのでテーマが定まらない、何を投稿しても手応えがないので続かない、たまに伸びても買う気のない人ばかり集まる。
特に車は「今日見て今日買う」商材ではありません。数ヶ月後、1年後に動くお客様が大半です。だからSNSの役割は、まだ買うと決めていない潜在顧客に普段から接触し続けて、買い替えのタイミングで真っ先に思い出してもらうこと。この「誰に・何を思い出してもらうか」が決まっていないと、投稿がただの作業になります。
そもそも今は、来店した時点で「この店で買ってもいいかな」がほぼ決まっている時代です。その前提については車屋のSNSは「来店前」で勝負がついているに書いています。
結論:答えるのはこの3つの問いだけ
難しいマーケティング用語は使いません。この3つに答えてください。
- Q1:自店が「得意なこと・専門にしていること」は何ですか?
- Q2:お店に来てほしい「理想のお客さん像」を一言で言うと?
- Q3:そのお客さんが「来店前に不安に思っていること」は何ですか?
ポイントは3つ目です。Q3の答えが、そのまま動画のテーマになります。ここまで書ければ、ネタ探しは終わりです。
Q1|得意なこと・専門にしていることは何か
最初の問いは、自店が何の店なのかです。輸入車、旧車、4WDカスタム、バイク整備、特定車種専門、鈑金塗装、コーティング。すでに言葉にできている方は、ここは早く終わります。
「なんでもやります」は、何も伝わらない
一番多いつまずきがこれです。実際には幅広く対応できるので「全部やれます」と書きたくなる。でも見ている側からすると、何の店かが分からないので記憶に残りません。
対応範囲を狭める必要はありません。SNSで打ち出す看板を1つに絞るだけです。来店してから他の相談をいただくのは普通にあることなので、入口を分かりやすくするだけだと考えてください。
書けないときの探し方
- 直近1年で一番多く売った・整備した車種やジャンルは何か
- 他店で断られた相談で、自店なら受けられるものは何か
- スタッフが一番詳しく喋れるテーマは何か
3つ目は意外と効きます。本人が自然に喋れる領域は、動画にしたときに一番伝わります。
Q2|理想のお客さん像を一言で書く
2つ目は「誰に来てほしいか」です。例えば「30〜40代、クルマが好きで、多少はお金を出せる人」。これくらいのざっくりさで構いません。
全員に向けると、誰にも届かない
「車を買いたい人全員」と書きたくなりますが、それだと言葉を決められません。「安さで選ぶ人」と「人で選ぶ人」では、刺さる投稿が真逆になります。
ここを決めると、やらないことも決まります。安さで選ぶ人を狙わないなら、価格推しの投稿はしなくていい。それだけで投稿の迷いが減ります。
Q2がズレると、客層までズレる
流行りの音源に合わせて踊る、バズ狙いでネタに走る。こういう発信は再生数は取れますが、集まるのは「その動画を面白がる人」で、車を買いたい人ではありません。再生数が伸びているのに問い合わせがゼロなら、ここがズレています。
逆に発信が少なすぎると「敷居が高そう」と思われて届きません。この加減の話はSNSの「ハードル設定」で客層は決まるで詳しく書いています。
Q3|来店前に不安に思っていることは何か
3つ目が本番です。Q2で決めたお客さんが、来店する前に何を心配しているか。ここに書いた内容が、そのまま動画とリールのテーマになります。
答えは想像しなくても出てきます。日々の商談や電話で、お客様が実際に聞いてくることがそれです。
不安を、そのままタイトルに変える
| お客様の不安・質問 | 動画タイトル(例) |
|---|---|
| 「輸入車って維持費高いですか?」 | 「輸入車の年間維持費、正直に全部教えます」 |
| 「この価格帯で本当に大丈夫?」 | 「100万円台の輸入車、買っていい車・ダメな車の見分け方」 |
| 「修理ってどのくらいかかりますか?」 | 「知らないと損する!輸入車の修理費用の相場を公開」 |
| 「古いバイク、部品もう無いですよね?」 | 「部品が出ない旧車、実際どこまで直せるのか」 |
難しく考える必要はありません。よく聞かれることを動画にするだけです。この変換の型はお客さんの質問を動画タイトルに変える方法にまとめています。
不安を解消する投稿は、来店後も効く
来店前に不安がつぶれている状態で来店されると、商談の中身が変わります。8fectの支援先では、YouTubeを見て来店されたお客様の場合、来店後の商談時間が約50%削減されたケースがありました(一部支援先の実績)。ゼロから説明する時間がまるごと消えるイメージです。
3つの答えを1行にまとめる
書き終わったら、この型に当てはめて1行にしてください。
「【Q1:得意なこと】の専門店が、【Q2:理想の客】に向けて、【Q3:不安】を解消する発信をする」
例えば「旧車バイクの整備専門店が、30〜50代の旧車オーナーに向けて、部品供給と維持費の不安を解消する発信をする」。この1行がアカウントのコンセプトです。
この1行をプロフィール文の下書きにもできますし、スタッフや運用代行会社に共有する資料にもなります。投稿に迷ったときは毎回ここに戻ってください。
設計を飛ばして始めると、あとでやり直しになる
「とりあえず投稿してみて、走りながら考える」は一見スピードが出そうですが、実際は遠回りになることが多いです。
- テーマがバラバラなので、フォローされても何の店か覚えられない
- 集まった客層がズレていて、投稿を作り直すことになる
- 成果の判断基準がないので、やめるかどうかも決められない
一方で、3つの問いに答えるのは15分です。この15分で数ヶ月ぶんの迷いが消えるので、先にやった方が確実に早い。
よくある質問
3つの答えは、あとから変えてもいいですか?
変えて構いません。半年ほど運用すると、反応が良かったテーマから「本当の強み」が見えてくることがあります。大事なのは常に正解を当てることではなく、迷ったときに戻れる基準があることです。
スタッフが何人かいる場合、誰が答えればいいですか?
全員に書いてもらうのがおすすめです。社長とフロント、整備スタッフで答えが違うことがよくあり、そのズレ自体が重要な情報になります。答えが揃っていない状態で投稿を始めると、発信のトーンがぶれます。
運用代行に依頼する場合も、自分で考える必要がありますか?
必要です。Q1〜Q3は現場にしかない一次情報で、外から調べて埋めることができません。逆に言えば、この3つが共有できていれば、運用代行は企画から回せます。依頼前の準備については車屋/バイク屋のSNS運用代行とは?依頼できる範囲・費用・選び方も参考にしてください。
まとめ
- SNSが続かない原因は発信量ではなく、始める前の設計がないこと
- Q1:得意なこと/Q2:理想のお客さん像/Q3:来店前の不安 の3つに答える
- Q3の答えがそのまま動画・リールのテーマになる。ネタ探しは不要になる
- 3つを1行のコンセプトにまとめ、迷ったら毎回そこに戻る
- 答えは変えてよい。大事なのは戻れる基準を持っておくこと
今日やることは1つだけです。紙に3行書いてください。それが自店のSNSの設計図になります。
書いた3行を一緒に見てほしい方へ
株式会社8fectは、車屋・バイク屋に専門特化したSNS運用代行・映像制作会社です。二輪部品商3年、輸入車専門販売店5年を経て独立し、累計40社以上のYouTube・Instagram運用を支援してきました。業界の商流と現場のオペレーションが分かっている前提で、設計から撮影・編集・分析までお手伝いしています。
「3つ書いてみたけど、これで合っているか分からない」という段階のご相談が一番多いです。8fectのSNS運用代行は月額10万円〜が目安です(詳細は公式LINEで)。
この記事を書いた人
渡邊 大地(わたなべ だいち)/株式会社8fect 代表取締役

二輪部品商で3年、輸入車専門販売店で5年。EC立ち上げ、SNS運用、映像制作を売る側の現場で担当してきました。2026年1月に独立し、いまは中古車販売店などの車屋さん・バイク屋さんだけに特化して、YouTube・Instagramの運用代行と映像制作をしています(累計40社以上を支援)
大阪自動車青年会議所、近青協情報委員会、滋賀自動車整備振興会などで、車屋・バイク屋向けのSNS運用について講師を務めています。大阪府在住。
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