SNSを頑張っている車屋ほど「再生数」を追いすぎている
「動画1本で3万再生いきました!」SNS運用の報告でこう言われて、悪い気はしないと思います。実際私もこの再生数を見ると嬉しくなります。
でもその月、来店は増えましたか?問い合わせは何件ありましたか?
車屋さんのSNSを見ていて一番もったいないと感じるのが、この状態です。真面目に頑張っているお店ほど、再生数という一番わかりやすい数字に引っ張られていきます。
株式会社8fectの渡邊大地です。新卒で二輪部品商に3年、そのあと輸入車専門販売店で5年、EC立ち上げからYouTube・Instagramの運用、映像制作まで店舗側の人間としてやってきました。今は中古車販売店などの車屋さん・バイク屋さん専門のSNS運用代行として、累計40社以上を担当しています。
運用する側の立場で言いにくいことを先に書きます。再生数は、報告書を気持ちよくするためには最高の数字ですが、商売の判断材料としてはかなり弱いです。この記事では、なぜ再生数を追うと売上から遠ざかるのか、代わりに何を見ればいいのかを書きます。
結論:再生数を追うほど売上から遠ざかる3つの理由
- バズった層と、車を買う層が違う/届いた人数は増えても、買う人は1人も増えていない
- 再生数を取るための発信が、店のブランドを削る/客層が下がり、値段の話しかされなくなる
- 「面白い動画の店」で終わって、来店の導線が残らない/見て笑って、そのままスクロールされる
順番に見ていきます。
なぜ再生数を追いたくなるのか
先に、追いたくなる気持ちのほうを整理しておきます。責められる話ではありません。
再生数には、他の数字にない性質が3つあります。すぐ出る。誰が見てもわかる。そして上下する。翌朝アプリを開けば数字が動いていて、社内でも「今月は伸びました」と一言で共有できます。
対して、来店数や成約数は数ヶ月遅れてやってきます。車は今日見て今日買う商材ではありません。半年後、1年後に動くお客様が大半です。反応が遅い数字と、反応が早い数字が並んでいたら、人は早いほうを見てしまいます。そういう仕組みの問題です。
理由①|バズった層と、車を買う層が違う
再生数が伸びるとき、何が起きているかというと、アルゴリズムが「この動画を見て最後まで見る人」に配り始めています。ここが落とし穴です。最後まで見てくれる人は、必ずしも買う人ではありません。
たとえば珍しい車をネタっぽく紹介した動画が伸びたとします。集まるのは「珍しい車を見るのが好きな人」です。全国、場合によっては海外からも届きます。(英語字幕を入れると海外層からも見られて再生数が伸びやすくなるケースもあります)数字としては最高ですが、商圏の外にいる人が大半で、しかもその人たちは車を買う予定がありません。
逆に、維持費の不安を丁寧に解説した動画は、伸びても数千再生で止まることが多いです。ただしその数千人の中には、その車種を本気で検討している人が混ざっています。商売として価値があるのは、後者の数千再生です。
理由②|再生数を取る発信が、店のブランドを削る
再生数を目標に置くと、発信の中身は必ず「わかりやすく刺激の強いほう」へ寄っていきます。流行りの曲に乗る、とにかく面白くする、煽る。短期的には数字が動くので、正しいことをしている感覚になります。
ところが発信のハードルを下げると、集まる客層も一緒に下がります。値段の話しかされない、冷やかしの問い合わせが増える、既存のお客様が離れる。このあたりは実際に起きます。
再生数は増やせますが、一度下がったブランドを戻すのは動画1本では効きません。どこにハードルを置くかで客層が決まる話はSNSの「ハードル設定」で客層は決まるに詳しく書いたので、そちらを読んでいただくのが早いです。
理由③|「面白い動画の店」で終わって、来店の導線が残らない
3つ目がいちばん地味で、いちばん多い失敗です。動画は見られた。コメントも来た。フォロワーも増えた。なのに問い合わせがゼロ。
これは動画の出来ではなく、その後の受け皿がない状態です。見た人が次にどこへ行けばいいのかが用意されていない。プロフィールを見ても何屋かわからない、長尺の動画がない、相談先が書いていない。この3つのどれかが欠けていると、興味はそこで消えます。
では、何を見ればいいのか
8fectでは、追う数字と参考にする数字を最初に分けます。ここを分けていないと、毎月の会議が再生数の話だけで終わります。
| 区分 | 見る数字 | 使い方 |
|---|---|---|
| 追う数字(KPI) | 来店数/問い合わせ数/成約数/「SNS見ました」の件数 | これが動かなければ、他が良くても運用は失敗と判断する |
| 参考にする数字 | 保存数/プロフィールアクセス数/視聴維持率/リピート視聴 | KPIが動かない原因が「どこで落ちているか」を探すために見る |
| 報告のための数字 | 再生数/フォロワー数 | 状況把握には使うが、これを目標に置かない |
いちばん簡単に始められるのは、来店したお客様に「何を見て来られましたか」と聞いて、その答えを紙かスプレッドシートに残すことです。これを3ヶ月続けるだけで、再生数よりはるかに役に立つデータが手元に残ります。
8fectの支援先では、YouTubeを見て来店したお客様の場合に来店後の商談時間が約50%削減、YouTube視聴経由の来店客について月間平均販売台数が200%超UPという結果が出ています(いずれも一部支援先での実績・8fect調べ)これらはどちらも、再生数を目標に置いて出た数字ではありません。
ただし、再生数がゼロでいいわけではない
誤解のないように書いておきます。再生数はどうでもいい、という話ではありません。誰にも見られていない動画は、どんなに中身が良くても仕事をしていません。
正しい順番はこうです。まず「見てほしい人に届いているか」を確認する。そのうえで足りなければ再生数を増やしにいく。再生数は目標ではなく、届いているかどうかを確かめるための目安です。
だから8fectでは、再生数が落ちたときに企画を変えることをまずしません。届け先が合っているかを先に見ます。順番を逆にすると、数字を追いかけるだけの運用になります。
よくある質問
運用代行の報告書が再生数中心なのですが、変えてもらえますか
お願いすれば変わります。「来店時のヒアリング結果と突き合わせたいので、問い合わせ件数と保存数も入れてほしい」と具体的に伝えるのが早いです。断られる場合は、その運用代行が来店までを見ていない可能性があります。
再生数が少ないのは、やり方が間違っているということですか
本数が足りていないだけのことが多いです。10本や20本で判断するには早すぎます。ただし数十本出して一度も伸びていないなら、冒頭の作り方か届け先の設定を見直したほうがいいです。
フォロワー数も追わなくていいのですか
追う必要はありません。フォロワーが少なくても売れているお店はありますし、多くても問い合わせがないお店もあります。見るなら、フォロワーの数より「誰がフォローしているか」です。
まとめ
- 再生数はすぐ出て誰にでもわかる数字なので、追いたくなるのは構造的に自然なこと
- バズった層と買う層は違う。届いた人数が増えても、買う人が増えているとは限らない
- 再生数を目標に置くと発信のハードルが下がり、客層とブランドが削られる
- 追うのは来店数・問い合わせ数・成約数。再生数とフォロワー数は目標ではなく目安
- 再生数が落ちたとき、企画を変える前に届け先が合っているかを見る
今日やることを1つだけ挙げるなら、来店したお客様への「何を見て来られましたか」を明日から記録に残してください。3ヶ月後、再生数の推移より役に立つ資料になっています。
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株式会社8fectは、車屋・バイク屋さんをはじめとした乗り物業界専門のSNS運用代行・映像制作会社です。代表の渡邊が二輪部品商3年、輸入車専門店5年を経て立ち上げ、累計40社以上のYouTube・Instagram運用を担当してきました。
「再生数は出ているのに問い合わせにつながっていない」という状態は、設計を見れば原因がわかることが多いです。公式LINEから、実績やサービス内容、料金までご確認いただけます。登録者限定の特典もお配りしています。
この記事を書いた人
渡邊 大地(わたなべ だいち)/株式会社8fect 代表取締役

二輪部品商で3年、輸入車専門販売店で5年。EC立ち上げ、SNS運用、映像制作を売る側の現場で担当してきました。2026年1月に独立し、いまは中古車販売店などの車屋さん・バイク屋さんだけに特化して、YouTube・Instagramの運用代行と映像制作をしています(累計40社以上を支援)
大阪自動車青年会議所、近青協情報委員会、滋賀自動車整備振興会などで、車屋・バイク屋向けのSNS運用について講師を務めています。大阪府在住。
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